歴史小説を読みました
久々に、歴史小説を読みました。高橋克彦著の「風の陣~全5巻」です。
今から13世紀前、奈良時代の東北地方(現在の宮城・岩手・青森)と奈良を舞台にした元々の住民である蝦夷と朝廷との争いと、人の駆け引きや主人公の葛藤を描いた歴史小説です。
作家は、奈良時代を騒がせた「橘奈良麻呂の乱」・「藤原仲麻呂(恵美押勝)の乱」・「弓削道鏡の台頭と凋落」等を背景に、坂上苅田麻呂、和気清麻呂、牡鹿嶋足、伊治呰麻呂という実在の人物像を巧みに描いていて、1300年前の事ながら現在の我々にも通じる思いが、感じられました。
蝦夷と朝廷と言えば、この新潟にも飛鳥時代(7世紀)に「沼垂の作」や「岩船の柵」が設けられた歴史があります。
私が歴史小説を好むのは、学生時代に読んだルネ・デュボス著のSo Human an Animalの訳本に接した時に「人間は習慣や文化等は時代と共に変わっていくけれども、その情念や感情はどんなに時代が過ぎようとも変わらない。」との文章に共感を覚えたからです。
司馬遼太郎、藤沢周平、陳舜臣等々、歴史を題材にした作家を読んできましたが、その面白みは人間の変わらぬ情感が、味わえるからではないでしょうか。又、その舞台となった地域を訪れてみるのも趣があるかと思います。